Ｓさん家の大冒険　Episode1

8月8日（土）～9日（日）にソロで剱岳に登ってきました

今回の剱岳の登山計画の概要は・・・


①一番ノーマルなコースとしては室堂から入山し剱沢のテン場で一泊して翌日、別山尾根から剱へアタック

　　　　　　　でもなんかもうひとヒネリがほしい・・・


②番目の候補は馬場島からの早月尾根を登り、疲れ具合により初日か翌日に頂上を目指す。テン場は早月小屋前のテン場を使う

　　　　　　　ウーンこれも、もうひとヒネリがほしい・・・



　　　で考えたコースはこの ①と②を両方一度に楽しんだら最高じゃん!(^^)!



初日にテント装備を担いで早月尾根経由で剱岳の頂上を踏み、そのまま別山尾根を下り剱沢のテン場で一泊、


翌日、別山尾根を登りもう一度頂上を踏み、早月尾根を下るという計画ができあがりました(^^♪


「カニのはさみ」に「カニのよこばい」「カニのたてばい」を楽しめる


机上の空論とはまさしくこのことでこれが試練のはじまりでした（笑）


7日（金）会社へ登山装備を積み込んだ車で出勤し定時ダッシュで退社し、高速道を立山ICを目指しひた走ります


ソロの場合は電車かバスで移動することが多いですが・・・


・・・早月尾根の登山口にあたる馬場島は最寄りの駅からはタクシーのみでそれも7000円以上と高額なので車でのアプローチにしました


立山ICからはナビのいわれるままに走ります。早い目にコンビニに寄り晩御飯と翌日の食料を調達します


15分も走ると山の中へ、早目の食料調達が正解でした(*^^)v


かなりのクネクネ道です、辺りは真っ暗なので何も見えませんが道はモンテカルロラリーのような道です・・・運転していても酔いそうです


インターから約45分で馬場島到着です・・・馬場島荘の前の駐車場はまだ空きがありましたので、、、、


そのままキャンプ場の横の細い道を進んでいきます


キャンプ場一番奥のトイレに近いところにスペースが空いてましたのでそこに車を止め、晩御飯のコンビニ弁当と350mlの缶ビールを


寝酒に頂き束の間のおやすみタイムです





3時に腕時計のアラームをセットしていましたが鳴る前に起きられました


結局、腕時計のアラームはなりませんでした・・・あぶなく寝過すとこでした・・・その日の午後3時に鳴ってました（笑）


起きて周りを見ると車がいっぱいで車内灯やヘッデンの明かりが車中で光ってます(*^-^*)みなさんも出発準備されています


こちらも、まず朝食の弁当を頂き、服を着替え出発準備です


午前４時、真っ暗闇の「試練と憧れ」の石碑の横を通り、早月尾根の登山口を出発です











真っ暗闇の中、いきなりの急登です・・・ウオーミングアップ区間なんてありません(^^;)


「歩き始めはあえてゆっくりなペースで、息が上がらないように」と山歩きの攻略本などに書いてありますが・・・


この登山道は歩き始めて１０歩目で強制的に息が上がってしまいます（笑）






ちょうど４時出発の方が多いようで、前後にヘッデンの明かりがみられます


後ろからドンドン抜かれます、みなさん日帰りの健脚、猛者連中です


こちらはテント泊装備なので無理には付いていきませんが・・・引っ張られてオーバーペースぎみです


自分で「抑えて抑えて・・・」と心の中で唱えますがチョット頑張ってしまいます（笑）


一時間ほど歩くと、標高1000mの標識とベンチが並んでいる所に着きました






空が少し明るくなってきました。進む先にはギザギザの山が見えてきてテンションUPです


そこからしばらくは平な道になりスピードアップです！！でも平な道もすぐに急登へ戻ります(-_-;)


この時間帯歩かれている方はほとんどが日帰り組のようです。登山靴を履いている方がおられないです・・・


ほとんどの方がトレランシューズに超軽装で颯爽と登られていきます










早月小屋泊やテント泊の方はもう少しゆっくりとスタートされているみたいです



りっぱな大きな杉があちこちにあります・・・その大きな杉の木の根が登山道の階段になっています






映画「もののけ姫」のシーンにでてきそうな森の中を登山道が通っています






標高1000ⅿの標識以降、200ⅿ登るごとに標識がありますのでちょうどいい目標となります・・・


でも他の方のブログに書かれているようけっこういい加減なところもあり注意です(^^;)


でも早月小屋は標高2200ⅿと最後は帳尻が合ってました（笑）


登れど登れど杉の根の急登が続きます・・・ストックを使ってましたがけっこう手も使いますので邪魔にもなります


標高1800ⅿの標識を越えると、ザレた斜面もでてきます






もう足はフラフラ状態です・・・弱、弱ですね～　　　この時点で帰りの下りが心配になっていました（笑）


登山道の真ん中に三角点？です






2000ｍ突破です（笑）ここからの1㎞がきつかったです～






きついですが登り続けます・・・「試練です・・・」




途中、通称「オタマジャクシの池」がありましたが、まだオタマジャクシはおらず






オタマジャクシのもとがプカプカと浮かんでました








そこから少し登ったら急に視界が開けます・・・「おー小屋や！」思わず声がでます






8時15分早月小屋到着！






コースタイム５時間４０分のとこを４時間１５分で登ってしまいました(^_^)vこのオーバーペースがこの後更なる「試練」に・・・


小屋に着いた時はもう本日のエネルギーは使いきった感がありました　　　が


でもこの時間にテントを張っても・・・時間ありすぎ・・・



でとりあえずコンビニおにぎりを一つ頬張り大休憩し


水２Ｌを900円で購入しハイドレーションに補給です


今回はテント泊ですが超コンパクト仕様です・・・オスプレーの38Ⅼで！







小屋のご主人から登山道の状況や別山尾根の混雑具合など教えてもらいます


この週末は剱沢小屋、剣山荘とも予約で満室らしいです・・・「別山尾根も大混雑でしょう！」って太鼓判を押されました（笑）


別山尾根がいっぱいだったら早月尾根を下った方が早いよ～ってアドバイスも頂きました


少しゆっくりし8時50分再スタートです






小屋から2400ⅿ地点までは先ほどの続きのような道ですが、そこから先はハイマツ帯となり視界が開けた尾根道となります






景色はとてもいいです・・・でも足が鉛のように重いです、道もさらに厳しくなってきてペースダウンです












2600ⅿ地点でストックをしまい、ヘルメットも被り戦闘態勢です(*^_^*)


振り返ると素晴らしい景色が広がります・・・あーよく登ってきたもんだ！！！






途中、雪渓も残ってました・・・雪渓の上は少しの間ですが涼しい～です






2800ⅿを過ぎるといよいよ岩だらけになります・・・アゴが上がってます（笑）








鎖場が連続します・・・「エボシ岩」・・・「シシ岩」・・・「カニのはさみ」



















シシ岩を過ぎると別山尾根を登っている登山者が見えます


なかなかの高度感ですが、鎖はしっかりしており、シシ岩の最後の一歩には長いボルトが打ち込んであり足場もしっかりしていました


カニのはさみで振り返るとこんな感じ～　　高い所にぶら下がっていますね～






カニのはさみを抜けると、別山尾根との分岐点です　　下から見えていた「白い十字架」みたいなものは分岐の標識でした






そこから先は別山尾根からの登山道と合流し頂上を目指します、ルートは複数あるみたいです・・・


登りやすそうなとこを適当に登ると頂上の祠の裏側に出てきます。ぐるっと回り込み12時50分到着です・・・










あーバテバテに疲れた～コースタイムオーバーの4時間かかりました(~_~;)


頂上には５名ほどおられるだけで予想外に空いています（笑）






360度絶景です!(^^)!


振り返れば朝から頑張って登ってきた早月尾根が雲海に浮かんでいます






北側には八ツ峰のギザギザや憧れの北方稜線が・・・






足元に突き上げてきている尾根は源次郎尾根・・・ここも登ってみたい道です






剱沢方面もよく見えます・・・






頂上で景色を眺めながらコンビニおにぎりを一つ昼食として頂きます


あまりゆっくりしてられませんので13時20分出発です・・・別山尾根が予想外にすいていますので別山尾根を下ります










しばらく進むと、「カニのよこばい」に到着、先行者はいませんし辺りには誰もいません










どうやって降りるのやろうか・・・ちょっと考えましたが、とりあえず鎖を頼って下っていきます


最初は真っ直ぐ下って途中壁に沿って右に曲がります・・・ちょうど曲がるところで足の置場が見えない有名な所がありますが、


足元をみると赤いペンキで大きな矢印とぐりぐりと丸が書いてあり特に迷うことなく進めます・・・






前後に人がいないのでカメラを取り出し鎖にぶら下がりながら足元を撮ってみました・・・　ヒェ～　吸い込まれそうな高度感です






でも思ったより短かったです。特に怖くってて感じではありませんでした・・・


「カニのよこばい」の鎖からハシゴへうつる所が鎖だらけで上がらない足に絡まって一番怖かったかも？






ハシゴを降りると平蔵谷のコルです、地図ではトイレになっている小屋がありました・・・






緊急事態の時には避難小屋として十分使えそうです


平蔵谷のコルから平蔵の頭へ登る鎖に取り付いたとき、パパの身体が限界を越えました右足の太もも（大腿四頭筋）がつりました(>_<)





この写真で青いパンツを履いている方の位置です・・・けっこう焦りました


このままでは登れないので右足は使わず、使えず・・・２点支持で慎重に休めるところまでバックです


そこで困った時の「ツムラ６８」を服用し１５分程度座り込んで休憩です


恐る恐る右足に力を入れてみると・・・なんとか回復していました


でも無理な力を入れないよう鎖場をクリアーして、前剱をトラバースする「帰り道」を歩きます・・・






高度感バツグンのトラバース道です・・・ここは鎖がないので怖かったです～


前剱を通過し大岩の横の鎖場をヨロヨロと下っている時に見えた一服剱への登り返し・・・また登るのか～っと愕然としました


なんとか這うように一服剱の頂上に辿り着いた時に見えた・・・





剣山荘から剱沢小屋、キャンプ場までの道は「もーむりー」と一人絶叫してしまいました・・・それほど疲れ切っていました


ヨレヨレふらふらで剣山荘16時10分到着・・・そのまま通過(*_*;






剣山荘から剱沢小屋までの間は彷徨でした・・・遠かった～でもチングルマのお花畑です






剱沢小屋16時50分になんとか辿り着きました・・・


振り返ると剱岳がどっしりと構えています2999mと3000mに満たない山ですが迫力がすごいです・・・






明日これを登って早月尾根を下るのは絶対無理とこの時点でギブアップ宣言です


帰り道にしてはハードすぎます(^^;)


明日は別山乗越を越え、室堂からアルペンルートで文明の力を使い下山し電車とタクシーで


ちょっとお金がかかりますが馬場島へ向かい車をピックアップすると決めました・・・


っていうかこの剱沢から脱出するにはそれしかないと考えてました・・・


剱沢小屋では本日はじめてのビールを頂きます・・・500ml一気飲みです（笑）







しばらくの間、意識が遠のきます～　・・・幽体離脱・・・状態です（笑）


ふっと我に返るとテン場までまだ登りがあるのを忘れてました・・・


もう一本ビールを購入しザックに差し込み、最後の力を振り絞って登ります






わずかな区間ですが２度ほど立休憩し登ります


やっとのことで17時15分テン場到着です・・・受付を済まし一泊分500円支払い説明を受けます






テントもいっぱい立っています・・・受付から離れるほどいいサイトが残ってそうですが


もう動けません・・・受付前の水場のすぐ前にギリ張れるスペースがありました


受付のおにーさんにここでもいいですか？と確認すると「水場のすぐ前なので足音とかうるさいと思いますよ～、


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　それでもよければどうぞ張って下さい」


今の身体に選択の余地はありません、倒れ込むようにザックをおろし設営です





パパのテントは一番手前の青いダンロップのテントです






ここのテン場は水が豊富でいいですね～


でも売店（お酒屋さん）は少し下った所にあります剱沢小屋まで行かないといけないのがネックですね・・・


疲れた身体には厳しい道のりです・・・ビール大好きなパパですが今回はあきらめました(T_T)






トイレ事情は昔からあるボットンタイプ・・・






とは別に新しく水洗タイプが少し上にできてました







テン場の受付のとなりは派出所になっています






心強いですが・・・できればお世話になりたくないですね(^^;)


派出所前には丁寧に手書きで書かれたホワイトボードがあります・・・ふむふむ今年は雪渓の溶けが早いみたいですね～







薄暗くなりかけてきましたので急いで夕食の準備です


今回は軽量化にこだわりこれだけです






お湯を沸かす、コッヘル類も持ってきていません・・・コップを直接バーナーにかけお湯を沸かします




ちょっと大きめのチタンコップなので十分コッヘルのかわりになります


お湯を入れ15分まっている間に剱を見ながらビールを頂きます・・・最高！旨かった！！


フリーズドライのチャーハンですがこれも旨かった～一日限界まで歩いたあとのごはんはおいしい～(*^_^*)


最高の景色をおかずにチャーハンを頂きます







お腹にエネルギー源が入ると体が温かくなり元気がわいてきます・・・先ほどまでの弱気がどこかに消えていきました（笑）



これやったら明日、別山尾根登れるんじゃない・・・？


そんな気持ちになったところで、歯を磨きおやすみの準備です


先週と違いかなり寒くなっていましたので、ダウンを着たままシュラフ（＃3）に入りました


夜中、足元がすこし寒い気がしましたが・・・気持ちよくぐっすりと眠れました